9人が辞めた職場で気づいた、定着率を上げるために管理職が本当にすべきこと
- ほいくサポ

- 8月18日
- 読了時間: 4分
9人が辞めた職場で気づいた、定着率を上げるために管理職が本当にすべきこと
私は保育業界に入ってすぐ、衝撃的な出来事に直面しました。
3月に着任して間もなく、「9名が退職する予定です」と聞かされました。
職員数は150名程度でしたので、決して見過ごせる規模ではなく、民間企業であれば間違いなく緊急事態として扱われるような状況です。
理事長は「そういうものなんだよ」と言っていましたが、私は「いや、これは何かある」と感じました。
本来であれば、ゆっくり業界に慣れていこうと思っていましたが、悠長なことは言っていられません。
「退職を止めることはできなくても、これ以上増やさないようにするにはどうすればいいか」
その視点で、すぐに職場改善に取り組むことにしました。

モチベーションを高められる職場とは?
私のモットーは、「モチベーション高く働いてもらえれば、結果は後からついてくる」というものです。だからこそ、まずは一人ひとりと面談を重ね、その人がどんな価値観を持っているのか、何に悩んでいるのかをしっかり知るように努めました。
話を聞く中で見えてきたのは、職場にある“空気”でした。
・強く主張する人の声ばかりが通る
・雰囲気を悪くしてしまう人がいる
・「みんな同じであること」が安心につながっている
・何かを変えようとする人を「ずるい」と感じてしまう風潮がある
つまり、「声を大きくした人が得をする空気」と、「違うことをする人を認めにくい文化」がありました。それが結果的に、静かに働く人や前向きに変化を起こそうとする人のやる気を削いでいたのです。
定着率を高めるために、実際にやったこと
大きく2つのアプローチを取りました。
1つは制度的な負担の軽減です。
たとえば卒園式用の袴や着物のレンタル代は、年長担任だけが負担するのが通例でしたが、これは園で上限額を設けて負担するように変更しました。また、園のTシャツやトレーナーなども、これまでは自費で購入していたのを、初回は園が支給するようにしました。金銭的な負担をゼロにするのは、働く上での基本だと考えたからです。
もう1つは職場の雰囲気づくりです。
・感謝やほめ言葉を伝える時間をつくる
・どんな話もマイナスで終わらず、最後はプラスの話題で締めくくる
・園長や管理職が話しているときには目を見てうなずくなど、基本的な姿勢を整える
・朝礼ではペアを組み、30秒ずつ「最近感じた幸せ」を話し合う
こうした取り組みは、一見すると小さなことかもしれませんが、積み重ねることで世代間ギャップを埋めること、お互いをもっと知ることにつながり「安心して働ける空気」をつくっていけたと思っています。
雰囲気は、園長だけでつくるものではない
面談ではこんな質問もしていました。
「もしあなたが園長や管理職だったら、何を一番に変えたいと思いますか?」
多くの先生が「職場の雰囲気を良くしたい」「風通しを良くしたい」と答えてくれました。でも、私はこう伝えました。「雰囲気って、園長がつくるものではないんだよ。一人ひとりの行動の積み重ねでつくられるものなんだよ。」
私自身が元気よく挨拶するのも、職員室に明るく入るのも、雰囲気をよくするためです。「なんとなくこの職場、気持ちいいな」と感じてもらえたら、それは行動の成果だと思っています。
これからの「働きやすさ」を考える
もし私が園長になったら――「週休3日」や「所定労働時間7時間」といった働き方改革に、本気で取り組みたいと考えています。
自分自身がフリーランスになり、家庭と仕事を両立する難しさを体感したからこそ、保育の世界でもできる限りの工夫が必要だと感じています。
職場の雰囲気づくりでは、注意されたときに「ありがとうございます」と言える文化をつくっていきたい。「ここで働けてよかった」と思ってもらえる職場づくり――それが、定着率を上げるために管理職が本当にすべきことではないでしょうか。

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