主任保育士とは?保育の質を支える“現場の最終防壁”のリアルな姿とは
- ほいくサポ
- 7月10日
- 読了時間: 3分

「主任保育士」と聞くと、保育のリーダーや中堅ポジションという印象を持つ方が多いかもしれません。でも、主任保育士とは、単なる中間管理職ではなく、保育の質を支え、現場と経営をつなぐ“橋渡し役”という極めて重要な存在です。
私は保育現場に入った当初、保育の経験がなかったため、主任保育士という立場の本当の価値を知りませんでした。けれど日々のやり取りの中で、その存在の大きさに驚かされ続けました。
まず、主任保育士は子ども一人ひとりの姿をしっかりと見ているということ。担任ではないのに、ほとんどの子どもの顔と名前を把握していて、その子の性格や家庭状況まで理解している。その観察力と記憶力は、経験と愛情に裏打ちされたものだと感じました。
さらに、主任保育士は**保育の質を守る「最終防壁」**のような存在でもあります。何かトラブルがあったとき、若手のフォローに入ったり、保護者対応を担ったり、職員間の人間関係のクッションになったり。まさに、園全体を見渡しながら、必要なときにさりげなく動く存在です。
私自身は、効率や合理性を重視して仕事をするタイプでしたが、あるとき主任から言われた言葉が印象に残っています。
「一番大切にするのは、子どもたちの保育じゃないといけない。」
その言葉を聞いて、私は効率だけでは計れない“保育の本質”に気づかされました。主任保育士とは、ただ現場を管理するのではなく、保育の価値を守る哲学を持った存在でもあるのです。
また、経営者側と現場職員の“間”に立つ主任は、両者の意見をすり合わせる橋渡し役でもあります。私が園に着任したばかりの頃、主任が「園の雰囲気が変わってきましたよ」と声をかけてくれたことがありました。現場の空気を敏感に感じ取り、それを適切に言葉にして伝えてくれる…まさに信頼の中心に立つ人でした。
近年は、働き方改革やICT導入など、園運営のスタイルも大きく変化しています。そんな中でも主任保育士は、現場の声を拾いながら、どうすれば“子どもの育ち”と“職員の働きやすさ”を両立できるかを真剣に考え、時には葛藤しながらも前に進めてくれました。
保育経験のない私でもはっきり感じたのは、主任保育士がいるかどうかで、園の雰囲気も保育の質もまるで違うということです。その人がいたからこそ、組織全体が前向きに変化できた。その主任がいなければ、今の園はなかったと言い切れます。
主任保育士とは、スポットライトを浴びることは少なくても、誰よりも“見えない努力”をしている存在です。その価値に気づき、敬意を持つこと。それが、保育の未来をより良くする第一歩なのではないでしょうか。
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