保育士が力を発揮できる仕組みが保育の質を高める理由
- ほいくサポ

- 3 日前
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「保育の質を高めたい」
そう考えたとき、保育士の研修を増やしたり、意識を変えようとしたりする園も多いのではないでしょうか。
もちろん、新しい知識を学ぶことや、より良い保育を目指す意識は大切です。
しかし、どれだけ経験や知識があっても、毎日の仕事に追われ、考える時間も相談する余裕もなければ、その力を十分に発揮することはできません。
保育の質を高めるために必要なのは、保育士に「もっと頑張ってもらうこと」だけではありません。
一人ひとりがすでに持っている経験や得意なこと、子どもへの思いを発揮できる仕組みを整えることが大切です。
頑張っていても、力を発揮できないことがある
保育士が力を発揮できていないように見えると、「経験が足りない」「意欲が低い」と考えてしまうことがあります。
しかし、本当にそうでしょうか。
子どもの様子について考えたいのに、書類や行事の準備に追われている。
保育を改善したいと思っても、職員同士で話し合う時間がない。
困っていることがあっても、忙しそうな先輩や管理職には相談しにくい。
自分で判断してよい範囲が分からず、指示を待つしかない。
このような環境では、保育士がどれだけ力を持っていても、それを十分に発揮することは難しくなります。
力を発揮できない原因は、本人の能力や意欲だけにあるとは限りません。
仕事の進め方や職場の環境が、保育士の力を出しにくくしていることもあるのです。
保育の質を個人の頑張りに任せる危うさ
責任感の強い保育士ほど、仕事が回らないときに「自分が頑張ればいい」と考えてしまいます。
経験豊富な保育士が、周囲の仕事まで引き受けている園もあるでしょう。
その頑張りによって、一時的には仕事が回るかもしれません。
しかし、特定の人の経験や無理に頼る状態は、長くは続きません。
その人が休んだり、異動したり、退職したりすると、今までできていたことが急にできなくなる可能性があります。
また、頑張れる人に仕事が集中すれば、その人ほど疲弊してしまいます。
保育の質を、誰かの責任感や自己犠牲だけで支えることはできません。
誰が担当しても一定の水準で保育が行われ、それぞれの強みを活かしてさらに良くしていける状態をつくる必要があります。
保育について考える時間を確保する
保育の質を高めるには、子どもの姿を振り返り、次の関わりを考える時間が必要です。
しかし、保育中は子どもから目を離せません。
そのため、ノンコンタクトタイムを設けたり、記録や振り返りを勤務時間内に行えるようにしたりすることが大切です。
会議についても、連絡事項を伝えるだけで終わらせるのではなく、子どもの姿や関わり方を話し合える時間にしていく必要があります。
ある子どもの行動について、一人では気づかなかったことも、職員同士で話すことで違う見方が生まれます。
時間を確保することは、保育から離れることではありません。
より良い保育を考えるために、必要な時間なのです。
保育以外の負担を見直す
保育士の仕事には、書類作成、行事の準備、集計、物品管理など、子どもと直接関わること以外の業務も数多くあります。
もちろん、すべてが不要なわけではありません。
ただし、「以前からやっているから」という理由だけで続いている仕事は、一度見直す必要があります。
同じ内容を複数の書類に記入していないか。
その行事や制作物に、かけている時間に見合う目的があるか。
紙から紙へ、同じ情報を何度も転記していないか。
記録の様式を整理したり、ICTを活用して転記や集計を減らしたりすることで、保育士が子どものために使える時間を増やせます。
業務効率化の目的は、単に仕事を早く終わらせることではありません。
子どもを見て、考えて、関わるための余白を取り戻すことです。
安心して相談や提案ができる環境をつくる
良い仕組みがあっても、困ったときに相談できなければ、問題は一人の中に抱え込まれてしまいます。
「こんなことを聞いたら怒られるかもしれない」
「提案しても、どうせ変わらない」
そのように感じる職場では、保育士は次第に自分の考えを口にしなくなります。
大切なのは、意見がすべて採用されることではありません。
まずは安心して話せることです。
新しい提案を最初から否定せず、一度みんなで考えてみる。
失敗した人を責めるのではなく、次はどうすればよいかを話し合う。
こうした積み重ねによって、保育士は自分で考え、行動できるようになります。
一人ひとりの得意なことを活かす
保育士には、それぞれ異なる強みがあります。
子どもの小さな変化に気づくことが得意な人。
制作や音楽、運動遊びが得意な人。
保護者との会話や、後輩への説明が上手な人。
ICTを使った業務改善が得意な人もいるでしょう。
苦手なことを補うだけでなく、得意なことを活かせる役割をつくることで、その人の力は園全体の力になります。
年齢や経験年数だけで役割を決めるのではなく、「この先生の良さを、どうすれば保育に活かせるか」という視点を持つことが大切です。
得意な人がすべてを抱えるのではなく、周囲に伝えながら一緒に取り組むことで、職員同士の学びにもつながります。
仕組みが整うと、子どもへの関わりが変わる
保育士に時間と気持ちの余裕が生まれると、子どもへの関わりにも変化が表れます。
子どもの表情や行動の小さな変化に気づけるようになる。
すぐに注意するのではなく、「なぜこの行動をしたのだろう」と考えられるようになる。
一人で悩まず、職員同士で知恵を出し合えるようになる。
子どもの興味に合わせた新しい遊びや活動にも挑戦できるようになります。
保育士が楽になることと、保育の質を高めることは、別々の話ではありません。
保育士が力を発揮できる環境をつくることは、最終的に子どもたちへ返っていきます。
仕組みは、保育士を縛るためのものではない
仕組みづくりというと、細かなルールやマニュアルを増やすことだと思われるかもしれません。
しかし、ルールを増やしすぎると、かえって保育士が自分で考える機会を奪ってしまいます。
保育は、いつも同じ状況で行われるものではありません。
目の前にいる子どもの姿に合わせて、その場で考え、関わり方を変えることも必要です。
園として共通にする部分は整えながら、保育士が子どもに合わせて判断できる余白を残す。
仕組みは、保育士を管理するためではなく、保育士が安心して考え、行動するためにあるものです。
保育士の力が発揮される園へ
保育の質は、一部の経験豊富な保育士や、責任感の強い保育士だけでつくるものではありません。
一人ひとりが持っている力を活かし、職員同士で支え合いながら、園全体でつくっていくものです。
そのためには、時間の使い方や業務の進め方、相談できる環境、役割の持たせ方を整える必要があります。
保育の質を高めるために、保育士へ「もっと頑張って」と求める必要はありません。
必要なのは、すでに持っている力を、子どものために発揮できる仕組みです。




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